個展「昔は今」

 

過去10年間のドローイングと版画を制作年代順に89点展示。 

 

会期:2022年11月2日〜13日     アーティストトーク:11月3日

会場:アートルーム企画室(東京都渋谷区広尾2-13-6  ARK1001)

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ステートメント 「物を描くこと」

 

 

今朝、梨泰院の事故のニュースを聞いてびっくりした。

事故が起きた日私は鎌倉のお茶会に参加して古美術に感動していた。

同じ1日の中で全然違う種類の出来事が起きる。なんで?

 

大学の卒業制作でチリの鉱山落盤事故の絵を描いたことを思い出した。

この事故当時は毎日報道されてた。チチチレレレの声とか。

こんなに話題になってるけど時間が経てば忘れられちゃうんだろうな。

私だけは忘れないよと思って絵にした。でも忘れてて、梨泰院のニュースを聞いてふと覆い出した。

 

梨泰院のことも、チリみたいにいつの間にか忘れちゃうんだろうか。

忘れなくても死んじゃえば記憶はなくなる。なんで。悲しい。

 

「すぎたりしてぜったいにとまることのないさらに長く感じていたい不思議な不思議な時間とは何か!!」※

 

死にたくない。1000年生きたい。1000年じゃ足りない。

この世界の全部がずっと在り続けてほしいし誰も死なないでほしい。

 

昨日お茶会で渡された茶碗の感触を思い出す。

さっき触った時は冷たかったけど、お茶を入れるとあったかくなった。当たり前か…。

この茶碗桃山時代からあるらしい。羨ましい。その、茶碗が茶碗であるということが。

死ななくてすむ。ずっと在り続けられる。

 

もう物に託すしかねえ。

 

人は死に記憶はなくなる。物にして残すしか道はない。

これだ! 描かねば。

 

2022, 10, 30

 

 

※「水中の哲学者たち」(永井玲衣・晶文社)p.202より。哲学対話を行なった小学生の言葉。

 


展覧会案内

 

 

今年のIndependent Tokyo 2022で審査員特別賞を受賞し注目を集める、

江波戸陽子の個展を開催いたします。

 

架空の物語を描いたリノカットや銅版画など、主に版表現を通して物語性を追求してきた江波戸。

2021年からは和紙にカーボン紙を乗せて線を転写する技法でドローイングを始めました。

 

近作の「盤上の思い出」シリーズでは、囲碁など歴史あるボードゲームの盤をモチーフにしています。

製図用定規を使いカーボン紙で転写した線は、印刷物と肉筆画の中間のような新鮮な印象を与えます。

 

静物を遺品、建築を遺跡、生き物や人物を生前の姿と捉え描くことで、

あらゆるものは等しく過ぎ去ることを暗示する。

本展では多摩美術大学大学院修了後の2013年から今年までに制作された作品が

制作年順にご覧いただけます。

 

会場の奥に進むに従い、過去の作品となります。

壁面全体を一枚の年表として捉えることも出来るでしょう。

作家の過去と現在を行き来するかのように、10年間の作風の変化をお楽しみください。