個展「こちら未来」

 

新作24点を出品。

ギャラリーの古美術コレクションと組み合わせて展示。 

 

2023年5月11日〜23日

Quadrivium Ostium(神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32)

メディア掲載:鎌倉経済新聞

 

 

Solo Exhibition "Here is the Future"  

 

24 new works will be exhibited.

Combined with the gallery's antique collection. 

 

May 11-23, 2023

Quadrivium Ostium

5-4-32, Jomyoji, Kamakura, Kanagawa, Japan

Media Coverage:鎌倉経済新聞



 

 

展覧会に寄せて

古美術と私

 

 

展覧会が始まる。

この展覧会のために、オーナーから古美術コレクションの説明をしてもらった。

 

透明な硝子の器。ぷりっと丸いお尻の犬の像。ゴーフレットに似た花模様の瓦。

欠けている小さな仏。とぼけた目つきの鳥の絵。妖しく錆びた鏡。

たった今掘り出したばかりのような、陶の塊。ゴリゴリに渋くてモダンな器。

色鮮やかな竹の花器。透けて消えてしまいそうな水差し。丸々と爽やかに描かれた兎…。

 

 

すげえ。

まじで。

古美術強すぎ。

 

 

15才で初めてエゴン・シーレの素描を見た時のように、

22才で黒澤明の生きるを観た時のように、

34才の私はドキドキした。

 

 

そして古美術品との対話が始まる。

言葉のない対話だ。目で触る、手で味わう、当時の風景を想像する…。

時間を超えた静かな対話が、ここクアドリヴィウム・オスティウムで始まる。

ようこそ! 過去、現在、未来が同時に存在する十字路の入り口へ。

 

 

江波戸(こんにちは。こちらは2023年の日本、奥鎌倉です。

    これらの作品、心から感銘を受けました。

    私の絵はいかがでしょう…? あなた方の美意識に通じる点はありますでしょうか)

 

古美術(未熟者が)

 

 

そりゃそうだ。

 

 

100年後。1000年後。私の絵も古美術品と呼ばれることを願い、制作を続けよう。

物の力を信じよう。時間の力を信じよう。

 

 

この永遠とも思える時空の中で、私たちはたまたま生まれて死んでいく。

残せるのは物だけだ。

あらゆる物は時空の座標に配置された、古美術品かつ現代美術品だ。

 

 

思い出は日々遠く霞む。それでも世界は続いていく。

 

 

もういいや。生きていけるだけ生きていこう。

絵を描こう。いい展覧会にしよう。

 

 

 

2023年4月30日 江波戸 陽子